型をはずすこと

先日新聞に「白い彼岸花」の写真が載っていた。
赤を見慣れているのでその新鮮さに、ホーっと感激した。
彼岸花は白の方が美しいなぁ、などとも思った。


花歴の永いワタシは、様々な花、そして花の色を観てきた。
華道小原流は様式をとても大切にする。
万年青、水仙、菖蒲、などなどを
様式にのっとりうり二つに活け込む修業を繰り返す。
水仙などは葉と花を根元でひとつにまとめている「はかま」を外し、
一度葉と花をバラバラにして、葉を一本一本しごき、
組み直す、という質面倒な技もある。
ワタシはこれが得意だった。
変な趣味だけれど、愉しかったな、ははは…。



その様式の中に「菊の三種、菊の五種」と言うのがあり、
「菊の五種」の様式がいつも記憶の出入りをしている。
その名の如く、決まった五種類の菊を大きな水盤に、
七宝と言う花留めを使用し活け込んでいく技法。



何故記憶に濃いのか、
それは菊達の花の色、開き加減、大きさ、葉付き、
すべてが一番善い条件のときに活けられた喜びが深かったのかも。
モチロン素材が善ければ、花型も決まり満足いく出来であった。
研究会でも高得点を取った覚えがあり特に印象深いのね。



いまは、アーティフィシャルフラワー、プリザーブドフラワーが主に
なっているが、フレッシュは自分ひとりの楽しみとして何時までも
残しておこうと思う。
あまりにも型や様式で固められたワタシのナマバナ人生は、
自由に飛ぶことを忘れてしまったようになっている。
「お生花」イコール「型」みたいな(笑)



創作意欲に火をつけるコラボがしてみたい欲望は持ちつつ、
型をはずす恐れを抱く自分の気持ちが不思議です。


白い彼岸花
青い薔薇。
そして自分流の生き方。