お雛飾りのお片づけ

今週の月曜日「やまがた紀行」で訪問した柏倉九左衛門家のおひな祭りは
通常3月3日から4月3日までだが、
私の旅企画の日程が4月9日だったので仕舞わずに
延長して飾ってくださっていた。
そのお陰で参加者達は柏倉家のおひな祭りの雰囲気を
愉しめて、16代ご当主の桂子さんには心よりの感謝。



感謝を少しでもカタチにしようと、今日は柏倉家へ一日奉公。
桂子さんの好きなお菓子「おとし文」と「ての字」のウナギを
たずさえ到着したら、ちょうどお雛飾りのお片づけの最中。
これはラッキー、とばかりにさっそく参戦した。



360年続くお雛飾りの歴史。
一番古いお雛飾りのお道具で江戸時代のものになる。
漆器はお湯で絞ったふきんでさっと拭き、
その後乾いたふきんで清めて湿気を取る。
お人形などの生地ものは、鷹の羽ボウキでホコリを落とす。
ひとつずつ丁寧に仕舞い、来年へ歴史を繋いで行く作業。



途中、柏倉惣右ヱ門家のご当主もいらして
先日のお礼を述べつつ、話は先日拝見した御殿飾りの話へと。
こちらのお雛様を修復された人形作家の林駒夫氏が
二年かけた修復の最中に人間国宝になられ
恐れ多くて参ってしまったという逸話を伺ったり、
その方の作品写真集を拝見したりと、
初めて惣右衛門さんとじっくりお話しさせて頂きました。



惣右衛門家は柏倉九左衛門家から250年前に分家し、
現在の家は大正時代に建てられ、こちらも文化財
昔、惣右衛門家から画家が出ていて、
その方の筆により、床の間の三方の壁に四季の草花の絵が描かれていたり
と、住居にするには気を遣われるのではないかと勝手な心配。



そこで私は惣右衛門さんに一度お聞きしてみたかった質問、
「ご苦労はおありですか」と失礼を承知でぶつけてみた。
お応えは「ここで生まれ育っているので、何事も当たり前だと
思ってきた。ただ修理、修繕、となったとき『残す』と言うことに
一番思いを置いたかなぁ」と。
もちろんこの柏倉家は二軒とも、修理に新建材は一切使用していない。



お聞きするところによると、
修理したくても大工さんが修理の方法を見つけられない、とか
今では手に入らない無垢材や、希少なものだったりで材料が探せない、とか
穴が開いたらベニヤではい修理っ!
と言うわけにはいかない悩みがおありでした。



さぁ、お雛飾りも仕舞われ、いつもの柏倉家に戻ったかな
と思いきや、「20日には五月飾りを出すのでまたきらっしゃい。」と
さらに「飾り物は仕舞った人が出すのが一番ええ、来年も頼みます。」
お手伝いの男衆に言われる一幕も!


365日のなか一日二日のお手伝いは愉しみながら出来ますが、
これを守り続けてきた家人のご苦労のは頭が下がります。
これからは、「伝え残す」ことがNPO法人柏倉家文化村の使命。
その一端を担う私に出来ることはなにか、
まず、桂子さんのお話相手をさせて頂くことかなと思っている。
その中にヒントがきっとあるから。

見学に来た山形芸工大の学生に説明をされているご当主。
水仙が満開。